『FAIRY TAIL 第1巻』魔法ファンタジー

本書(真島ヒロ『FAIRY TAIL 第1巻』講談社、2006年)は週刊少年マガジンに連載中のマンガの単行本である。魔法が使える架空の世界を舞台としたファンタジーである。魔導士ギルド「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」に加入したルーシィ・ハートフィリアと、ナツ・ドラグニルらギルドの仲間達の活躍を描く。テレビアニメも2009年10月12日からテレビ東京系列で放送を開始した。

『FAIRY TAIL』は魔導士達に仕事の仲介等をする組合「魔導士ギルド」が各地に存在する世界が舞台である。新人魔導士の少女・ルーシィは、ギルド「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」に憧れ、一人前の魔導士を目指す。冒頭ではルーシィと「妖精の尻尾」所属の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)・ナツの出会いを描く。

この導入部は異色である。この時点ではルーシィは「フェアリーテイル」に所属していない。憧れのギルド「フェアリーテイル」に入りたいと思っているところで、ナツと出会うことになる。ルーシィの目を通して「フェアリーテイル」及び所属する魔導士達を描いていくことで、読者も作品世界に自然と入っていける。順調な滑り出しであり、今後の展開に期待したい。

本作品の世界では、ギルドは人々の困った問題を解決する何でも屋のようなもので、ルーシィ達は受けた依頼を解決するために奮闘する。但し、第三者が持ち込んだ依頼であっても、依頼内容が主人公達の過去のエピソードに何らかの形で関わってくることが多い。破天荒な「フェアリーテイル」の魔導士達も、実は重たい過去を抱えていたことが明らかになる。依頼を解決していくことが、彼ら自身が過去と向きあうことにもなる。これによって物語に厚みを持たせている。

たとえば第12巻(真島ヒロ『FAIRY TAIL 第12巻』講談社、2008年10月17日発売)ではエルザ・スカーレットのエピソードが中心になる。妖精女王(ティターニア)の異名を持つエルザは「フェアリーテイル」の総長(マスター)・マカロフが自分の後継者として考えたこともある人物で、実力者揃いの「フェアリーテイル」の中でもトップクラスである。主要キャラクターの中でも抜きんでた存在として描かれ、主人公らと同じ目線に立ちながらも、導き役的な存在であった。

そのエルザも実は重たい過去を抱えていたことが、今回のエピソードで明らかになる。一人で全てを背負うつもりで過去に立ち向かうエルザであったが、エルザを思う仲間に助けられる。エルザにとって「フェアリーテイル」の仲間達は自らを犠牲にしてでも守りたい大切なものであった。しかし、自らを犠牲にすることが、その仲間達を悲しませることになる。それを知ることでエルザにとってギルドとの絆は一層深いものになった。

本作品は魔法が使える世界で主人公達が魔法を駆使して敵と戦う冒険マンガであるが、ギルド「フェアリーテイル」が物語の中心に位置する点が特徴である。悪の魔王を倒すために主人公一行が旅を続けるというようなありがちのパターンではない。外部に冒険に行っても、それが終われば主人公達はギルドに戻る。

戻るべき場所があるということが作品世界を地に足ついた安定的なものにしている。このパターンが今後も続くのか、それとも少年漫画にありがちな強大な敵と戦う長編バトル化していくのか。今後の展開が注目される作品である。

林田力記者のプロフィール

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描いたノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)の著者です。

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