「相乗り天下り県政逃げ切り」の香川県知事選挙と地元民主・社民の醜態

相乗り・天下り県政の継続か?政党の支援を受けない「四国初の女性知事」か?

結果は「三人に二人が棄権する中で相乗り天下り官僚県政が逃げ切り」となりました。

確定得票
浜田 恵造 58 無所属・新 163,583  54.87%
渡辺 智子 56 無所属・新 111,646  37.45%
松原 昭夫 54 共産・新 22,895  7.68%

新人三人が立候補していた香川県知事選挙(真鍋現知事は引退)は、元大蔵官僚・高速道路機構役員の浜田けいぞうさんの当選が確実になりました。投票率は前回並みの36%でした。

投開票速報(選挙管理委員会)
http://www.pref.kagawa.jp/senkyoi/2010_chiji/sokuho/index.shtml
ksb開票速報
http://www.ksb.co.jp/senkyo/

関連記事・リンク
相乗り天下り官僚県政継続か?四国初の女性知事か?香川県知事選挙が大接戦
http://www.janjanblog.com/archives/13321
四国新聞 私の公約
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/local2010/commitment.htm
小川淳也さん (衆院議員、前民主香川県連代表)ブログ 「香川県知事選挙」
http://ameblo.jp/ogawa-junya/entry-10623195212.html
香川県知事選、「発言最多」県議の渡辺さと子さん名乗り
http://www.news.janjan.jp/election/0912/0912294885/1.php
寒霞渓を守る会
http://ameblo.jp/uchinomi-dam/ 

浜田候補は民自公社各党や、連合香川などの大きな組織を基盤とし、真鍋武紀現知事や政治評論家の森田実さんらの全面支援も受けました。

終盤は、政党や大組織の支援を全く受けない前県議の渡辺候補の猛追が伝えられました。しかし、投票率が前回並みに低迷する中で、浜田候補は逃げ切った模様です。

浜田・渡辺両候補の票差は5万票差でした。全有権者の6%強。もうちょっと投票率が高ければどうなったかわからない数字です。

「情けない」の一言、民主党の相乗り

まず第一に、筆者が所属する民主党(連合も)が独自候補も出せず、自民、公明、社民などと相乗りに傾き、県連代表が悩んだ挙句辞任に追い込まれるなどの混乱を露呈したことに今一度、遺憾の意を表します。情けないの一言につきます。

浜田陣営の演説を聞いた人によると、民主党の県議は浜田候補への応援演説の中で、「渡辺候補が当選したら、香川県は、阿久根市のようになる」と脅かしていたそうです。同じ党員として恥ずかしい、のひとことです。

支持者を落胆させた社民党香川の「暴挙」

社民党さんも社民党さんです。香川の社民党は、昔は成田知巳・日本社会党委員長、前川知事、脇高松市長などを輩出した輝かしい歴史があります。

しかし、現在ではオール与党体制の中で権益を維持する方向になっています。社民党香川の基盤は自治労。浜田候補は自治労が連れてきた、というのが、もっぱらの評判です。

普段は渡辺候補と一緒に環境などの市民活動をしていた方々で、国政では保坂展人さんら社民党候補を応援する人は女性では特に多いのですが、彼女らも今回の社民党香川の「暴挙」にショックを受けている方も多い。

「保坂さんが参院議員になっていれば、渡辺候補の応援にきていたろうに」と悔しがる方もおられました。

他党派(民主党員)の記者が「まあ、地方の連合とか社民はこんなもの」と妙な慰めかたをしてしまい、我ながら失笑しています。

社民党の四人の県会議員は、全員無投票当選です。下手に知事選で自民党と争ったら対立候補でも立てられて困る、と考えているのでは?だから自民党が乗れる浜田候補擁立を推進したのでは?とさえ勘ぐってしまいます。

ザ・選挙 香川県議会議員選挙
http://www.senkyo.janjan.jp/election/2007/37/00006335.html

このあたりに、民主党だけでなく社民党も含めた旧野党が、いまだに地方では自民党支配を打ち破れていない理由を見せつけられた思いがします。

「旧体制では優秀な人」を担いだ民主・社民・連合

浜田候補は、「良い人」でしょうし、「優秀」なのでしょう。しかし、その意味は「旧来の体制では、うまくやっていける人」という意味です。

旧来の体制とは、「官僚や政治家が大手企業を保護する。そして、大手企業さえよければ地域や社員(民社党や社会党支持の労働組合員)に恩恵が及ぶ。教育や住宅、医療などのセーフティネットも企業に依存する。それがうまくまわっていたように見えた体制」です。

そういう仕組みは、高度成長や冷戦の終焉で、過去のものになったはずです。しかし、過去二十年の自民党は、「改革」を叫びながら実際には旧来の体制の護持を図り続けました。自民党は官僚と大手企業の階級政党の側面を強めて行った。「エライ人以外」はどんどん切り捨てて行った。

地方交付税のカットや非正規雇用を増やしたりしたのもその一環です。小泉・竹中政治も結局は大手企業(キヤノンやトヨタ)がよければすべてよし、という体制の護持だったし、天下りや特別会計に踏み込むこともしなかった。

旧体制は破綻明らか

それが、いわゆるリーマン・ショックを契機に一挙に矛盾を露呈した。(実際はそれ以前でも派遣切りはあったのですが)。それと並行して自民党体制もNoを突きつけられたのが、衆院選でした。

これからは、効率的で大きな政府が求められる。やはり、エライ人の既得権は削らないといけない。一方で現場サービスは充実させる。同一価値労働同一賃金(渡辺さんも知事選で掲げた)を導入し、格差をなくす。一方で、年配男性正社員、公務員の(相対的な)高給に依存してきた住宅や教育などの費用は他の先進国並に社会全体で支え合う。そういう方向での改革が必要なのです。

産業政策でも、公共事業でも大手企業さえ儲かればなんとかなる時代は終った。大手企業が儲かっても、結局は東京本社にお金が流れるだけになってしまった。渡辺候補が選挙戦で主張したように、地域でお金が回るような仕組みをつくらないといけない。

もちろん、記者としては国で行うマクロでの景気対策を否定するものでは全くありません。短期には雇用対策や住宅対策、火急に迫った貧困対策をやりつつ、雇用や社会保障のあり方、税制のあり方を見直せば良い。国レベルの経済政策では亀井静香さんあたりを推しつつ、地方レベルでは渡辺候補のような政策がよい、と記者は考えています。

自民党が倒れても旧体制護持にしがみつくと・・

ところが、相変わらず、地方の民主、社民、そして連合などは、「大手企業と官僚と土豪が第一」の自民党体制への依存が抜けない。

官僚や大手企業がよければすべてよし、の発想が抜けないからこそ、浜田候補推薦なのでしょう。

たしかに、自民党政権が続いている時なら、例えば下手に同一価値労働同一賃金を主張しても、自民党にいいとこどりされ、正社員が非正社員並に引きずり下ろされ、セーフティネットも整備されない、という最悪のパターンになりかねない。

しかし、今は自民党体制は国では倒れました。

地方の民主、社民、連合などが旧体制に固執するにはもうひとつ理由はある。「下手に自民党とぶつかって、野党で冷や飯を食いたくない」ということです。また、自治労の場合は、例え選挙で民主系首長候補が勝っても議会で少数与党になったら、混乱して困る、という心理も働く。それはわからないではない。

しかし、旧体制にこだわっていたら、自民党体制はいつまでも地方で残ります。そして何より怖いのは、民主、社民、連合などが古くさいままだと、反動で、公務員や年配正社員をたたきまくり、若者やワーキングプアなどの溜飲を下げてもらうような勢力の台頭があり得ることです。

このあたりは、民主党の新代表、それから連合の幹部のみなさんも考えていただきたいと思います。

さとうしゅういち記者のプロフィール

佐藤周一。1975年11月12日広島県福山市生まれ、東京都育ち。現在の本籍地は広島市安佐南区祇園。
1999年3月、東京大学経済学部卒業。2000年4月、広島県入庁。県庁時代は、労働、医療、介護、男女共同参画などの行政に携わる。一方で、反貧困、野宿生活者支援、女性、若者、非正規労働者支援、男女共同参画、瀬戸内海の環境問題などに関する活動に従事。
2011年1月31日広島県を退職。同4月10日執行の広島県議会議員選挙(広島市安佐南区選挙区)立候補、4278票を獲得するも及ばず。同6月20日〜医療・介護関係の会社員。
所属政党 民主党(2011年1月まで)→無所属→みどりの未来(2011年8月から)
2010年度・労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会(略称:生存ユニオン広島)委員長。http://d.hatena.ne.jp/lifeunion/
1996年〜広島瀬戸内新聞社主 http://hiroseto.exblog.jp/
TWITTER:http://twitter.com/hiroseto/

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