沖縄・日本を脅かすもう一つの「アメリカ」

 米軍基地が沖縄県民にとって脅威をもたらしているのは明らかなことだが、それとは別にもう一つ沖縄社会に脅威をもたらしていると思われる「アメリカ」がある。以下の写真は、沖縄で見つけた大手スーパーマーケット・チェーン「イオン・ジャスコ」の店舗である。

 それのどこが「アメリカ」なのかと思うだろう。イオン・ジャスコといえば日本資本のスーパーチェーンだが、最近、イオン・ジャスコでは、「トップバリュ」や「ベストプライス」のようなプライベート・ブランドと呼ばれる店舗留め置きの独自ブランド商品が販売されている。これらのブランドのついた製品は、広告で知られ、どこでも販売されている一般商品(ナショナル・ブランドと呼ばれる)と比べ価格面で安いのが特徴だ。それは、店舗のみで販売されているものなので宣伝やマーケティングの費用が少なくて済むからだ。

 イオン・ジャスコのプライベート・ブランドの制作に関わっているのは米国系のコンサルティング会社である。そもそも、プライベート・ブランドというアイデアはアメリカで発展したもので、今やナショナル・ブランドをしのぐ勢いで成長している。日本でも1割程のシェアを占めるまでになった。

 さて、なぜこのプライベート・ブランドが脅威であるのかというと、これらが、すでに営業力で大きく差をあけられている商店街のパパママ・ストア(個人商店)に対し、さらなる差を与えるからである。価格はさらに安く店舗留め置きの独自ブランドなので、仕入れの段階でかなわなくなる。

 考えてみればプライベート・ブランドの前に、大型小売店舗が規制緩和により全国に広まったことで、各地の商店街がシャッター街化していき、地域コミュニティが打撃を受け崩壊の一途を辿ったことは知られるところである。

名護市内の商店街の一角

 大型店舗の設置や営業の規制を定めた大店法の規制緩和の影にもアメリカがある。80年代からアメリカの執拗な圧力でなされてきた「構造改革」の波によるものだ。

 沖縄は、かねてから島独自の血族のつながりや地域のつながりを大事にする風土が強い。沖縄の農村部では、地域で作った農産物を販売する共同売店があり、また、無人で野菜を売っている店などをぽつぽつ見かける。地域社会の健全さをどことなく感じさせる。そのおかげで、全国一の高失業率、低所得の経済状況でも、人々が大らかに暮らし合っていける面がある。だが、本土(沖縄では内地と呼ぶ)に続き、プライベート・ブランドを武器にしたイオン・ジャスコのような大型スーパーチェーンが、そんな地域コミュニティのつながりに悪影響を及ぼしているのではと心配でならない。

 その他、沖縄の街では、内地でも目にするコンビニ、ファミレスの看板がところどころでみられる。これらもアメリカ発の資本主義的な経済効率を重視した施設の数々だ。結果、各地域の個人経営商店は倒産、コミュニティが崩壊していき、全国どこにいっても、同じ店舗が並ぶ画一化された風景を目にする味気なさが蔓延していった。

 米軍基地だけでなく、このようなものも、我々の生活に脅威をもたらしていないかをしっかりと検証し、場合によっては基地と同様に撤去の対象にすべきではなかろうか。

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海形マサシ記者のプロフィール

生まれは福岡で米国サンフランシスコ州立大学国際関係学部卒業。現在、東京を中心に翻訳・通訳、フリーライター(小説を含む)の仕事をしている。
ブログ:http://masagata.exblog.jp/

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【ご意見板】10 件の書き込みがあります

  1. 風間陣    2010年 9月 1日 21:08

     大手スーパー等の出店で地元の商店街が寂れるなんて話は大昔からありましたよね。本土では腐るほど前例のあることであり、うまく対処している地域だってけして珍しい訳でもないのに、沖縄では今更ですか。
     本来なら多くの事例を参考に最も有利な態勢で対応できて然るべきなのに《場合によっては基地と同様に撤去の対象にすべきではなかろうか。》などと言われると、「要するに沖縄の人達は、過去の事例に学んだり、営業努力をしたりといった自助努力を一切しないで何でも余所者(米軍、大和人)の所為にしてわがままを言うだけの腐った怠けものなんだね。」としか思えなくなってしまいます。そういう意味で、とても沖縄の人達に失礼かつ、沖縄の為にならない記事だと思います。

  2. >1
    きついですねぇ。
    ただ、沖縄の地場産業が「国の政策」として保護されてきたのは公然の事実です。もちろん、基地の見返りとして。
    私は、基地の負担は減らすべきだと思いますが、基地はいらん!地場産業も守れ!じゃ、少しムシが良過ぎるかな・・・ただ、今は本土大手の資本も取り入れたほうが、いいのでは。
    沖縄って、ある意味、大きな地方ブランドなんで、やりようによってはウマくいく可能性もあると思うのですが。

  3. なんだか、必要以上に沖縄・沖縄県人を美化したがるウチナンチューがいるものですが、かえって沖縄の人には、迷惑なように思えます。佐野眞一氏の『沖縄─だれにも書かれたくなかった戦後史』はオススメ。

  4. 風間陣    2010年 9月 1日 23:27

    2.pub男様、
    《沖縄って、ある意味、大きな地方ブランドなんで、やりようによってはウマくいく可能性もあると思うのですが。》
     同感です。何処の地域でもどんな企業や個人商店でも、景気が良くても悪くても、きちんと状況を分析して最善の方法を取った方々は成功しています。成功していないところだって、皆状況の変化に対応し、生き残るべく努力を続けています。それは沖縄の方々も変わらないと思うのですが、何だか聞こえてくるのは他力本願の「特別扱いして~」という論ばかりなのが気になります。そういう人達は米軍や政府の所為にすることによって自分の無能さや怠惰さを誤魔化している様にしか見えないんですよ。

  5. 青木岳陽    2010年 9月 2日 12:21

    この記事は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の類というか、牽強付会だと感じます。
    日本では何故かウォルマートやカルフールなどの外資スーパーが成功していません。しかし、中国では地方都市でもウォルマートやカルフール、イケアが超巨大店舗を構えています。あれは米国やフランス、スウェーデンの経済的侵略行為なのでしょうか?
    別記事コメントでipadの工場が中国にあることを述べておられますが、あれも中国人労働者を搾取するために米国資本が侵略しているのでしょうか?
    見方によってはどうとでもとれるでしょう。ちょっと説得力がなさすぎませんか。

  6. 風間陣    2010年 9月 2日 22:09

     あれ? 【独立国に外国軍基地があるという意味】の方では[2010年 9月 2日 13:11]にコメントが入っているのにこちらには何の反応も無いんですね。
     コメント欄の書き込みに気付いていらっしゃらないのかな?

  7.  地域コミュニティーは大事だよねとか、どこの町でも画一化された風景は異常だって云う感じ方には共感するね。まったく、その通りだよ。
    「沖縄は、かねてから島独自の血族のつながりや地域のつながりを大事にする風土が強い。沖縄の農村部では、地域で作った農産物を販売する共同売店があり、また、無人で野菜を売っている店などをぽつぽつ見かける。地域社会の健全さをどことなく感じさせる。そのおかげで、全国一の高失業率、低所得の経済状況でも、人々が大らかに暮らし合っていける面がある。」なんて、沖縄の事情を書いてくれているけど、本土だって同じだったと思うぜ。日本の原風景だよ。助け合ってさ、労わりあって、誰でも居場所があって、誰でもなんとか生きていけてたと思うんだよな。そんなとこには行方不明高齢者なんているわけないよ。
     
     それが崩れていっているよね。理由は単純じゃないんだろうけど、記事ではアメリカの所為だって言ってるね。それって、相当に強引だよ。<5.青木岳陽>さんも言ってるけどさ。敵を見誤ってはいけない。経済方面で言うのなら、敵は自由貿易体制ーグローバリズムとすべきじゃないの。アメリカは親分だけど、アメリカだけとしちまうと裏にいる連中に騙されるぜ。アメリカみたいにお人好しじゃないから、騒がないし目立たない。
     
     規制緩和の影にアメリカがいるのはホントだけど、なんの権利もなく騒いでいた訳じゃないよな。自由貿易体制の「内外無差別原則」を盾に、米国の流通業者が日本の流通業者と同じ条件で商売させろって事だろ。郵政民営化も同じだったよな。その前は非関税障壁とか騒いでいたよな。日本はWTOに加入しているし、というより有力メンバーだから話し合いに応じるしかないよね。話し合いがつかなければ、係争手続きには入るとか対抗手段が許されるってのがルールなんだから。アメリカの騒ぎ方が目立つだけで、こういうのは日本もアメリカに要求しているわけだし、他の加盟国ともやってる訳だ。
     
     これって、地球上の競争条件を同じにしようって話だろ。地域なんてのは違いがあるから成立するわけで、極論すれば文化破壊にもなるよね。だから、自意識過剰なフランスあたりで反グローバリズムは広まったんだな(きっと)。
     だから、アメリカに絞る前に回りも良く見たら。裏にいるのは、日本にもある多国籍企業だったり、もしかして自由貿易で最大の恩恵を受けた中国だったりするかもわからないしね。日本も一味なのは間違いないしね。
     

     それと、守るべきものを間違えちゃいけないよ。「我々の生活」なんて危なっかしいからね。地域の住人なんて所に足元を置いちゃ駄目だよ。地域の住人は、店を営んだりもしているが、生産者とか消費者とか有権者とか、色々な顔を持っているんだな。消費者と有権者が一番多いだろ。これが、規制緩和を進め、小商店をやっていけなくし、日本の工場を潰したんだからね。今の日本は多重人格者時代なんだからね。
     

     攻撃対象もイオンなんてマイナーなものを狙うのは感心しないね。マクドナルドだよ。ジョゼ・ボベは1軒しか潰さなかったようだね。それで反グローバリズムの旗手になったんだからね。揶揄してるんじゃないからよ。とても頭のいい人で、アナザーグローバリズムとか、とても立派な事を云ってる。あと一歩、良くわからんけどね。マクドナルドを何軒か潰して、秋の韓国のG8に乗り込んで世界に訴えるってのはどうだろ。ジョゼ・ボベみたいに逮捕されちゃったら行けないか。マックの話は半分冗談だよ。分かると思うが。
     
     こちらは、自由貿易体制を利用して日本の強い産業分野を生かしたり、創ったりして地域にも波及できないかと考える方なんで、ご一緒という訳には行かないんだがね。でも、夫々の地域コミュニティーを守ったり、回復したりすることは意味深いと思うんだよね。豊かになれば出来るってものでもなさそうだし、難しいね。

     

  8. >自由貿易体制を利用して日本の強い産業分野を生かしたり、創ったりして地域にも波及できないかと考える
      

    自由貿易体制は強い産業分野だけが生き残る体制ではないのかな。
    産業分野が残れば、地域も残るとお考えのようですね。
    それは、甘い。
      
    現実に、自由貿易体制によって、アメリカの産業は空洞化して、
    産業の担い手であった、中産階級も没落した。
    日本も20年遅れで、アメリカを追いかけていませんかな。
    日本が没落しても、中国があるさ、と将来、言われかねない。
      
    波兵さんは、お孫さんが中国に出稼ぎに行く時代が来るとは、思いもしないでしょうね。
    その可能性はゼロではない。

  9. >8
     波兵のコメントへの意見のようなので、取り合えず何か言わないと。
    でも、何を言いたいのかな?
     「自由貿易体制には問題が多い」
     「自由貿易体制は不幸の元だから、別の体制に変わるべき」
     「産業分野は残っても地域は残るとは限らない」・・・このあたりかな?
     

     「アメリカの国内事情に問題が多いから、自由貿易体制がおかしい」って意見のようだが、問題はなさそうに書いている中国だって自由貿易体制だよね。中産階級の没落を言いたいのだろうか? それは自慢じゃないけど、追いかけなくたって今の日本だって中流階級の没落論はあるんだぜ。
     日本が20年遅れで追いかけた事を問題にしているのだろうか? 20年前は日本の経済規模はアメリカの半分程度で20年後にはアメリカに追いつくのではないかという話もあったぐらい。今は、3分の1だよね。株価も20年前は日経平均は4万円弱までいっていたが今は9千円前後でしょ。ニューヨークダウは当時4千ドル程度だったが、今は1万ドル前後だね。経済から見れば全く追いかけてないよ。せめて、併走していたら現在の日本が抱えている問題は相当に絵が違っていると思うんだがね。株で運用していた年金基金だって苦しまなくったって良かったしね。そういう話じゃないの?
     

     自由貿易体制には問題が多いよ。資本主義や自由主義や民主主義に問題が多いようにね。だから、どの国も自由貿易の理想と各国の事情との狭間で苦労しているんだよね。どこだって強みは生かして、弱みはガードしたいからね。日本だって、苦労して米を守ったりしているよね。片方では知財とか独占禁止問題で中国に文句つけたりしてさ。
     

     だからって自由貿易体制を捨て去るってのはどうかね。昔の人の言葉で「盥の水と一緒に赤子も捨てる」なんてのがあるが、多少問題があるからってみんな捨てるってのは自棄だよね。そういう意見でもないの?
     いまさら、自由貿易体制捨てて、ブロック経済とか植民地とか、ましてや鎖国なんて駄目だよ。なぜって、嫌だから。
     

     「産業分野が残れば」ってのは、稼げる産業があれば、その産業に属する事業や会社が栄えるし、そうすれば働く人にも恩恵がある。その人の住んでいる地域も栄える程度の積もりなんだけどね。そうでなきゃ、その地域はスラムだろ。「衣食足りて礼節を知る」なんてあるじゃない。イメージした日本の原風景の地域コミュニティーは、温もりのある互いに大事にし合う世界なんだよね。単なる郷愁か妄想かもしれないね。
     

     「中国に出稼ぎに」なんて話もしてるけど、「出稼ぎ」って随分昔の言葉だぜ。京浜工業地帯なんかでは必死に出稼ぎを集めたもんだよ。「金の卵」なんて手に入らないしさ。「出稼ぎ」は、その後「季節労働者」って言っていたんだが、今は契約社員だね。
     今だって、中国で働いている日本人は多いよ。中国に留学するのも増えているらしいし。中国まで行かなくても、日本で中国の会社とか、中国人上司の下で働いている日本人も珍しくないのでは。勿論、日本の会社で働いている中国人なんて一杯いるよね。これも、グローバリズムの結果なんだろうね。
     なんか未来の話をしているようだけど、意味分からないな。

     甘いなんて、分かっているんだけどさ。もう少し分かりやすく言ってくれないと反省のしようがないよ。頼みますよ。

  10. 小泉竹中政権が10年前に推進した、経済政策は新自由主義政策と言われています。
    自由貿易体制とは少しニューァンスが違う。日本などのように、人材しか資源を
    持たない国は、自由貿易の交易によって、現在にように、#3の経済大国になった。
    自由貿易は今も、昔も日本にとっては死活的に重要なことです。

    その自由貿易体制でも、今と昔では違いがある。
    日本が高度成長をしていたころ、官庁では通産省が大きな権限を持っていた。
    ところが、今では財務省が大きな権限を持って、首相に消費税の増税論吹きかけている。
      
    新自由主義政策とはカネの動きで国家社会を動かしていこうとする政策である。
    だからマネタリズムとも言われる。資本の効率を盛んに宣伝する。日本ではホリエモンのように
    カネを稼ぐ者が一番偉いんだとなる。企業の社会的責任等は関係ネーと言うわけである。
       
    郵政民営化も200兆円の郵貯貯金が無駄に使われている、もっと有効に使えという議論であった。
    そうなると、利息をほとんど生まない国債で運用するよりも、国営を民営にして、利回り10%の
    外国債券、投信に投資しろとなる。問題があるのは、自由貿易というより、この金融自由化にある。
      
    問題の第1。金融と言うのは国内産業に投資されて、地場産業には無くてはならないものである。
    ところが、金融自由化はもっと金利の高いところがあれば、投資していた国内産業から資金を貸しはがして外国の経済成長著しい所に移転すると言うことが起きる。  
      
    第二に、2008年には世界の投資マネーは総額が半分になった。日本人個人投資家も金利の高い外国に投資しておれば、資産の大幅な減少に会っている。スーパーなどで、余裕資金を投資信託で運用していた会社が、スーパーの営業は毎日盛況であっても、投資で失敗してつぶれた所もある。
      
    日本経済は主は実態経済・地場産業であり、わき役が金融業である。
    所が最近は金融が主で実体経済がわき役の観がある。
       
    アメリカの製造業が総崩れであるのも、国内に投資するよりも、海外に
    投資した方が儲かるじゃないかということのみで、起きている。
    年、15%も通貨を増発しれば、それだけでアメリカ国内は景気が良くなり
    株価は上昇する。しかし、それはまさに、産業の主が金融と言うことの
    証明である。
       
      
    ちなみに15%も通貨を10年膨張させれば、通貨量は4倍になる。
    そろそろ、ドルが暴落するという説が信憑性を持ち始めている。

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