フィリピントヨタの労働者がトヨタ本社前で抗議。「労働者の国際連帯」の実例を見る。
9月19日、名古屋駅前のトヨタ本社ビルにて。
フィリピントヨタからやってきた、フィリピンのトヨタによって解雇された人たちが、トヨタ本社ビルの前で抗議活動を展開していました。
なにがあったのでしょうか?
現地で聞いたことを紹介します。
●フィリピントヨタ事件の経緯
ことの発端は2000年。
1500人規模のフィリピン最大ののトヨタの工場において、職場の過半数を超える労働組合が成立しました。
フィリピンの法律では、日本と違い、労働組合員が職場の過半数を占めないと労使交渉が出来ません。(*1)
職場の過半数を超える組合になったので労使交渉をさせろと、会社側に迫ったところ、会社側は、組合の選挙の投票に管理職が入っていないことを理由に労使交渉を拒否。
裁判に持ち込まれます。
最高裁判所で労組側の主張が認められ、会社側は団体交渉に応じなさい、という命令が出たと同時に、会社側は200名以上を解雇。
「これで労働組合は過半数ではなくなった」と言い出します。
このようなやり方には、世界中から非難が出て、世界中にあるトヨタ労組も問題視しました。
そこで、世界中にあるトヨタ労組で一斉に抗議行動が展開されますが、日本のトヨタ労組だけそれに参加しませんでした。
日本のトヨタ労組は、会社側の利益を優先する御用組合のような状態になっていた、という話のようです。
それは問題だ、ということで「フィリピントヨタ労組を支援する会」などが結成されて、フィリピントヨタの労働者の支援を開始します。
現地フィリピンでも労働者は戦ってピケを張ったりストライキで工場が停止したり(*2)したけども、
大統領から圧力がかかったり、労組の組合員が刑事告訴されたり、工場内に軍隊が駐留したりして、大騒動となりました。
この問題に関しては、世界中のトヨタ労組から抗議の声があがっただけでなく、ILOなどからも勧告をされたが、問題は解決せず、現在に至ります。
●フィリピントヨタ事件の最近の動向
フィリピンでは、労働組合の活動家が暗殺されることがあるが(*3)、さいきんでは、
その暗殺をおもに請け負っているのではと言われている部隊の事務所が労組の事務所にすぐ近くにあり、身の危険も感じている、とのことでした。
フィリピンでは、トヨタは労使交渉に応じないので、最近では日本にある労働組合「全日本造船機械労組(全造船)」に加盟して、
日本の労働組合法を利用して労使交渉を申し込むという戦略をとっているけども、裁判をしているが、なかなか認められない、とのことでした。
トヨタ本社ビル前では、フィリピンからは委員長であるエノさん(10年前に解雇)と、今年の8月3日に解雇されたウィニー副委員長が来て、東京や各地からかけつけた各地の労働組合の人達とともに、「トヨタは解雇を撤回し、労使交渉に応じろ(ただし、二人は英語)」と声を上げていました。
この日に集まっていたのは40人ほどでした。
●これは「インターナショナルな連帯」を目の当たりにしたのだろうか?
なんだか物騒な話が起きているフィリピンですが、
フィリピンで発生した労使問題について、日本の労働組合が連帯している事案のようです。
こりはつまり、左翼や労働組合の歌である「インターナショナル」(*4)に歌われている
「海を隔てつわれら腕(かいな)むすびゆく」ということの実践例なのでしょうか?
現場ではりきってシュプレヒコールをしていた、名古屋ふれあいユニオンの酒井徹さんに話を聞きました。
Q:海外の労働者が日本の労組に加盟して労使交渉を申し込む、ということは、認められるのでしょうか?
A:現在のところ難しい話です。裁判中ですが、なかなか認められませんね。
Q:このような共闘は「労働者のインターナショナルな連帯」の一例でしょうか?
A:そのとおりです。労働組合に結集した私達の仲間は、トヨタで働くフィリピンの仲間に連帯して一緒に戦っています。
Q:「労働者のインターナショナルな連帯」は、日本ではあまり見かけませんが、世界的にはよくあること、あるいは成果をあげていることなのでしょうか?
A:アジアでは難しいですが、アメリカとカナダでは、産別(*5)の労組が両国でお互いに連携したり、同じ労働組合として組織を作っていたり、それが社会に認められていることは、ごく一般的なことです。
ただし、アメリカの自動車業界においても、トヨタだけはそのような横断的な労働組合が存在しません。
ヨーロッパにおいても、産別の労働組合が国境を越えて組織されていて、連携したり、同じ組織として認知されたりすることは、ごく一般的なことです。
日本では逆に地域別の労働組合が強いですね。
Q:何故、欧米では、そのような国際的な連帯が可能なのでしょうか?
A:カナタとアメリカ、ヨーロッパの各国では、国境が地続きであるということと、言語が通じたり、かなり似ているということは、大きいと思います。
Q:日本の労働組合法は、とてもよくできていますね。
A:労働者にとって、大変利用しやすくなっています。特に職場で過半数を組織しなくても団体交渉が出来るというのは大きいですね。
おおくの国では、職場で過半数を組織しないと団体交渉が出来なくなっています。
Q:何故日本ではそのように労働組合法が整備されているのでしょうか?
A:私はGHQが日本で占領政策をするときに、日本では労働者の権利が弱いから、軍国化・右傾化したのだと考えて、このように整備したのではないかと、考えています。
Q:法律上、労働組合が組織しやすくても、実際には労組の組織率が低下しているし、労働条件は悪化して、社会の右傾化は進んでいますね?
A:…そのとおりです。どうしてなんでしょうね。
どうやら「インターナショナルな左翼」というのは、ヨーロッパでは、ある程度は実現していることのようでした。
アジアでそれを実現するためには、日本の労働者は、もっと周辺国のことを学ばないといけないのかもしれません。
また個人的に思うことは、日本の場合、労働組合や市民(左翼?)活動に従事する人たちが、労働者の利益を考えて活動をしていた、というよりは「社会変革妄想」のようなものに取り憑かれていて、労働者の利益ではなくて、たんに「自分のやりたいこと」「革命ごっこ」のようなものを、思い込みによって繰り返しており、多くの労働者や一般市民から、見放されてしまったことが、原因ではないか、と思うことがあります。
その証拠にというか、日本の労働組合の活動などでは、すくなくとも筆者の知る限りでは
「失敗した事案から学ぶ」ことや「成果を評価して反省をする」ということが、欠如している場合が多く、なにか困難な状態に陥ったり、明らかに人災か判断ミスだろうという事態に陥っても
「労働者の団結の力で(翻訳…気合で)」などと精神論が出てくることが、少なくない気がするのです。
時には、自ら唯物論者(マルクス主義?)だという人が、ただの精神論を語っていたりして、とても奇妙な気分になることがあります。
以前、ヨーロッパからやってきた「左翼」の人と話をしていたときに
「日本人(の活動家)は感情的な言葉を使いすぎているように思う。あれで意見の異なる人を説得できるのか」
というようなことを聞かれて、だから新左翼は相手を説得できずに棒で殴ったんじゃないかと返答して、かなりウケた、ということがあったことを思い出しました。
もっとも、当時はフランスなどでも暴動も起きていますから「政治の季節」に色々と荒れたのは、日本だけの特徴ではないと思いますが、左翼同士で殴りあったり、機関紙などで相手を「蛆虫」と罵ったりするのは、さすがに見ない現象のようでした。
今回実施されていた、フィリピンからやってきた労働者との、国際的な連帯。
言葉(英語)が通じる人は、受け入れ側の日本の労働組合には、ほとんどいないようでしたが、 それでも国際連帯をしているようでした。
わざわざトヨタ本社までやってきた二人が、フィリピンで暗殺されないことを祈りたいと思います。
*1 フィリピンでは、労働組合員が職場の過半数を占めないと団体交渉出来ない。
日本の法律は労働者に有利にできており、組合員が二人居れば労組が結成でき、会社側は団体交渉に応じる義務が発生する。
また、その職場に一人でも組合員がいれば、社外の組合員と共に団体交渉が可能になる。
これは法律で明確に保障された権利であるが、知らない経営者、労働者も多い。
*2 労働組合がストライキ、ピケなどを行うこと。
日本でもフィリピンでも、労働組合が交渉や闘争の手段として、仕事を怠業したり、職場を占拠したりすることは、法律で合法的なものとされている。
労組が職場を占拠して勝手に経営してしまう、ということも、事件の経緯によっては成立する(京品ホテル事件など)。
ただし、同様の行為を労働組合ではなくて個人で行うと、捕まったりする。
*3 労働組合の活動家が暗殺される。
なんだか物騒な話であるが、今回来ていた人だけでなく、まったく別の人からも同様の話を聞いたことがある。
「暗殺方法」は、夜中にバイクで走ってきて、活動家を撃ち殺して、そのまま逃走。犯人は絶対に出てこず手かかりもない、というようなものらしい。
*4 インターナショナル
19世紀後半のフランスで作られた社会主義者の歌。戦前の日本では歌うと捕まることがあった。
初期のソビエト連邦の国家でもあった。成立時のフランス社会を反映してか、歌詞はやや物騒である。
なお、言語のまったく通じない相手でも、社会主義者や左翼の場合、この歌のメロディを歌うと一緒に歌いだす場合がある。
インターナショナル・歌詞(1番)
起て飢えたる者よ 今ぞ日は近し
覚めよ我が同胞(はらから) 暁(あかつき)は来ぬ
暴虐の鎖断つ日 旗は血に燃えて
海を隔てつ我等 腕(かいな)結びゆく
いざ闘わん いざ奮い立て いざ
ああインターナショナル 我等がもの
*5 産別(さんべつ)。
産業別の労働組合のこと。港湾労働組合、建設労働組合、公共サービス労働組合などの産業別に大きな労組を結成すること。
関連リンク
フィリピントヨタ労組を支援する会
http://www.green.dti.ne.jp/protest_toyota/
全トヨタ労働組合(ATU)
http://blog.goo.ne.jp/atunion
全日本造船機械労働組合
http://www.zenzosenkikai.jp/
インディーズ系メーデー中部。アースデイあいち・LOVE&ビンボー作戦本部。反貧困名古屋。生存組合。などで活動しています。
Chisitomare_Esamanihi
アイヌにまつわるQ&A
LOVE&ビンボー作戦本部
生存助け合いネットワーク(生存組合)
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CNN_Rainbow市民放送局
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トヨタ本社前のデモは非常に有効です。
地元の中日新聞にはデモの記事はありませんでした。
記事が出ればトヨタが困ったことでしょう。
トヨタは、新聞ネタを極端に嫌がります。
今頃、フィリッピントヨタが頭を抱えていることでしょうね。
それにしても、日本のトヨタ本社前でデモをするシナリオを描いた
人がいるのですね。
全造船機械労組・定期大会で2004年9月5日、佐々木憲昭議員が演説をしていた。
> わざわざトヨタ本社までやってきた二人が、フィリピンで暗殺されないことを祈りたいと思います。
これ,どういう意味ですか?
フィリピン政府の人が暗殺を仕向けるんですか?
まさか「トヨタが暗殺を仕掛ける」って意味ではないですよね。こんな名誉毀損を記事にするはずないですよね…。
フィリピンでは、労組左翼仲間で日本赤軍のような「内ゲバ」「綱紀粛正」文化があって、日本でこのようなことをした人は「暗殺」されるんですか?
フィリッピンで日本人が殺された事件が何件もあります。
その全ては、金銭がらみです。金さえ払えば、殺人を代行してくれる
ビジネスがあるそうです。「地獄の沙汰もカネ次第」の面があるようです。
http://www.asahi.ph/jbcp/feb-02koenkai.htm
『日本人事件簿 ―マニラ取材の現場から― 』
フィリッピントヨタは奥田元会長の出身企業だから、成績を上げようと
ガンバッテいるようです。
しかし、トヨタはもともと三河の会社ですから、
成績を上げるために、社員の団結を無理に壊すことは
しない習慣があった。これでは神君家康公の意向を
理解していないことになる。
三河武士にあるまじき、最近のトヨタだな。
>>山田慧 さん
誰が殺しているかが、わからないので「暗殺」なのです。
フィリピンでの「暗殺」は、記事本文にも書いてあるように
「暗殺をおもに請け負っているのではと言われている部隊」というものがいる、という話でした。
つまり、フィリピン政府やトヨタではなくて、軍隊か元軍人のようなもの、という話です。
実行犯がそういうものだとして、誰がカネをだしているのかは、よくわかりませんね。
ともかく、彼らが言うには、そういう話でした、裏の取りようもないですし、仮に本当のことがわかったとして、書いたら殺されちゃうかもしれませんね(笑)。
彼らは、トヨタに対して文句言いまくりですが、事実に反しているというわけでもないでしょうから、名誉毀損にはならないと思います。
労働組合が抗議宣伝活動として行う場合は、それを保障する法律があり、名誉毀損にはなりにくいです。
「民間の(ボランティアの?)」左翼同士で自主的に殺し合いをするのは、日本の新左翼ぐらいのようですよ。
「内ゲバ」というのは、それほど珍しい現象らしいです。
(そのことをテーマに調査をしたわけではないので、厳密にどうなのかまでは知りませんが)
>>青木紘一 さん
新聞といってもインターネット新聞ですからねぇ。
どれだけ効果があるのかは不明です。
あと、この日に展開されていたのは「デモ」ではなくて、トヨタ本社前での抗議行動です。
フィリピンから人がやってくるのは、珍しいことですが、トヨタ前での抗議活動は、地元の労組が、月一ぐらいでやってませんでしたかね?
でも、まったく報道されてまんね。
マスコミは、トヨタという文言が入るだけで、かなりハードルが高くなるらしいですね。
現場でガンバッテいた労働組合の人たちも、その点については、かなり文句を言っていました。
トヨタって三河武士だったんですか?
それは初めてみる視点です。
特定記者の釣り記事?
この記者は、たまに意図的な記事書くから…
青木紘一と言う人物が釣れた。
今年の初め頃だったか、トヨタのリコール騒ぎで
トヨタは三河武士が、地元の中日新聞が、同じ事を言ってた奴いたな。
ヨーロッパ資本主義の成立のバックボーンはマックスウエーバーによれば
プロテスタンティズムであった。
日産が外資に買収された今、トヨタ、ホンダ、スズキが国産の三大自動車メーカーである。
その発祥の地は、期せずして三河、または浜松です。家康は岡崎に生まれ、若いころは浜松を本拠地にしていた。
何もないところには資本主義は成立しないように、何もないところには製造業の技術の継承も出来ない。生物も、社会も、何らかの「核」を中心にして育つのではないでしょうか。
Esaman さんも、固有の「核」を探し求めて、旅をしているのではないでしょうか。
三河武士に興味をもたれたら、山岡荘八の「徳川家康」と宮城谷昌光の「風は山河より」、
「新三河物語」をお勧めします。
三河武士か。
知りませんでした。
歩いた後は草も生えないという近江・名古屋商人あたりかと思っておりました。
不勉強でした。