チェルノブイリの事例からフクシマを考える。河田昌東さんの話

7月30日、名古屋市女性会館で
「福島第一原発事故は何をもたらしているか~フクシマから私たちが学ぶべきこと~」が開催されました。
講師として呼ばれたのは、長年、放射性や被爆問題、遺伝子組み換え問題などで活躍してきた、チェルノブイリ救援中部の河田昌東さんです。
このイベントは名古屋ふれあいユニオンの航海学集会として企画されました。

EsaTube:
河田昌東さん講演in名古屋市女性会館
http://www.youtube.com/user/esamanihi#p/u/4/9fHxtyw0qpk

チェルノブイリでの経験を元に、福島第一原発について講演する河田昌東さん。

チェルノブイリでの経験を元に、福島第一原発について講演する河田昌東さん。

河田さんには以前、遺伝子組み換えの問題について取材したことがあります。

COP10に関わる「遺伝子ビジネス」の理不尽な話
http://www.janjannews.jp/archives/2882842.html

当日の講演の内容は全て、EsaTubeにアップしてありますので、
お時間のある方は、そちらをご覧ください。
やや長い動画ですが、時間をかけて見る価値のあるものだと思います。

この記事では、講演の内容で印象に残ったものや、
公演以外で色々と聞いたことを、ごく簡単にまとめてみました。

河田さんとの質疑応答

Q:菜種は放射性物質を吸収する性質があるとのことですが、放射線の除洗などに利用は可能でしょうか?

A:利用可能です。ヒマワリなども効果があります。
ただし現状では、放射性物質を吸い上げた菜種をどこに保管するのか(汚染物質の最終処分場)、ということが決まっておらず、効果を挙げにくい状態になっています。
東北に種を送る活動などもありますが、育ったあとにその菜種をどうするのか、ということが決まらない限り、あまり効果的ではありません。
放射性物質を吸い上げたあとの菜種は、放射性汚染物質として管理をしなければなりません。
枯れた菜種をそのまま放っておいたり、土に埋めたりすると、放射性物質は元に戻ります。
焼いたりすると拡散します。

Q:放射性物質を吸い上げた菜種から絞った油は使用可能でしょうか?

A:使用可能です。放射性物質は水溶性なので、油には移りません。
私たちがチェルノブイリで実験した範囲では、絞った油には放射能はありませんでした。
油は利用が可能だと思います。
もちろん、菜種の絞りカスは放射線物質として保管する必要があります。

Q:もともと放射線の高い地域の自然放射線と、違いはあるでしょうか?

A:確かに、自然状態で放射線の高い地域と、今回汚染された地域の値で、似たような値の場所はあります。
ですが、自然界にもともとある放射性物質は、植物に吸収されるようなことはほとんどなく、たとえ値が同じであっても、危険性が同じという意味にはなりません。

Q:チェルノブイリなどでも、野生の肉をよく食べる人、きのこをよく食べる人などは放射線がたまっていく値が多い、という解説がありました。

A:そのとおりです。とくにキノコはかなり高い値が出るので、絶対に食べないほうが良いです。
キノコ類は何年たっても高い数値が続きます。
野生動物も値が高く、汚染地域の野生動物は食べないほうがいいと思います。

Q:そのようなものを食べ過ぎて、あまりに高い値が出てしまうと、人間も放射性汚染物質になりませんか。

A:なると思います。チェルノブイリなどでは、もともと汚染された地域に土葬するので、あまり問題にはなりません。

Q:放射線に被爆することによって発生する被害はどのようなものでしょうか?

A:外部被爆よりも内部被爆が被害が大きく、若いほうが同じ被爆でも影響が大きいです。
被爆とは、放射線によって遺伝子などが傷ついて、かんたんに言うと「加齢が進む」ことです。
アンチエイジングのような対処をして、健康的な生活をしていれば、被爆に対して少しは対抗できます。
同じ被爆量でも、子供にはとても影響が大きくて、大人になると子供ほどは影響が出ず、年寄りでは影響が少ないです。
私たちの活動では、現地でのボランティアは、ある程度のお年の方で、これから子供を作る予定のない方に一緒にやってもらっています。

学習会の模様。60人ほどが参加した。

学習会の模様。60人ほどが参加した。

EsaTubeの映像中、みどころ

はじめ
美しい被災地の風景。
河田さんも東北出身であることから、北国の春がいかに十みなの心に待ち遠しいものかを語る。
日本有数の美しい町とされるその村の風景は昔と変わらないが、強く汚染されている。

7分40秒~
チェルノブイリ事故が起こった当時、電気事業連合会が
「チェルノブイリの事故は、日本の原発とは構造が違いと特殊な政治体制下が引き起こしたもので、日本では絶対に起こりません」
という広告を展開していたが、実際には25年後に似たような事件がおきてしまいました。

11分40秒~
チェルノブイリ原発の中には回収できなかった和解作業員の遺体がある。
バクテリアも生存できない環境で、その痛いがどうなっているのかは誰にもわからない。

15分頃~
現在の福島第一原発の状態、冷却と停止の方法、原子炉の構造の説明

22分30秒~
政府の説明「地震と津波の5時間後には圧力容器が壊れていた」という説明はおかしい。
送電線と発電機が壊れても、内部に8時間持つバッテリーがあるのに、5時間で容器まで破損してしまうというのは、
津波だけの影響ではないことを示唆している。
津波で電源がなくなったことだけが原因ではなくて、地震で蒸気を送るパイプが破損して中が空焚きになった可能性もある。
津波の対策だけを進めることには疑問。

現在、解けた核燃料が地面に染み込んで周囲を汚染しつつあることを、政府も半ば認めている。
この対策には2300億かかる。原発建設と同じような額、何のための原発だったのか。

事故がおきたら、簡単に燃料がメルトスルーしてしまうことは、知っている人は知っていたことだと思う。
原子炉の構造は、底の部分から制御棒を入れてモニターするようになっており、底の部分は大変弱い構造になっていた。
メルトダウンがおきない前提の構造になっている。

28分40秒~
いろいろとある放射線の単位について解説。
ベクレルやシーベルトについて。
河田さんがガイガーカウンターをかざして、実際に放射線を計ってみせる。
音が鳴ったときが、放射線が飛び込んできた瞬間であり、
音が鳴り続けるというのは、放射線がどんどん飛び込んできている状態である。
シーベルトは遺伝子の火傷の大きさと考えても良い。

39分ころ
いまのところ外に出ている情報では、フクシマの放射線放出量はチェルノブイリの1/3程度ではないかと推測している。
正確な情報がないので変わる可能性はある。
放射性物質による汚染は、放射性物質を含んだ雲が上空にやってきて、雨が降ったときにおきるので、まだら状に汚染される。
チェルノブイリ事故ではベラルーシが汚染が多くなっている。
モスクワのほうに風が吹いたときに、モスクワが汚染されるのを防ぐために、ソ連政府は飛行機を使って人工雨を降らせたと現地では信じられている。

今回の事故で流れ出た放射性物質の多くは太平洋に流れた。
事故がこの時期(7月30日)におきたら、風向きから関東全域に降り注いでいた。

46分21年間30秒~
私達がチェルノブイリで学んだことは内部被爆がもっとも怖いということでした。
いま盛んに、広島大学や長崎大学の人たちが100ミリシーベルトまで大丈夫だと言っています。
腹が立ちます。
山下教授という人は、福島に委託されてアドバイザーをしており
「ヒロシマもナガサキもフクシマに負けた」と言っているが、これは冒涜である。

50分~
放射線量を測定するボランティアをしていますが、
50歳以上で子供を作る予定のない人が条件です。50歳以上でも子供を作る予定のある方は参加できません。
47歳の人が参加したいと言ってきましたが「あなたにはまだ未来があるのだから」といって断りました。
体内に蓄積される内部被爆は、以前は20ベクレル程度だったものが、チェルノブイリ事故のあと、日本も広く薄く汚染されて60ベクレルくらいになった。
徐々に下がってフクシマの前には20ベクレルくらいに下がっていた。
いまみなさんがどの程度セシウムなどを体内にもっているかは、わかりません。
20では済まないでしょう。数百になっている可能性もあります。

チェルノブイリでは農業と畜産が主な産業であったが、いまはできなくなった。
そしてベリー類などを採ってきて売っているが、ベリー類、キノコ類は放射線を吸収しやすいが、
バイヤーがそれを買って町で売っている。知らない間に町の人たちも内部被爆している。

58分~
被爆によって増えるのは、ガン、白血病が増えるだけはない。
チェルノブイリではガン、白血病は1割以下で、
多いのは心臓病、糖尿病、血液病、脳血管障害、先天異常、免疫力低下による感染症などが多い。
チェルノブイリの大人では、発病しているのは10万人あたり6万人である。
チェルノブイリでは子供達も心臓病や糖尿病になっている。
放射能による影響は「加齢」であるといわれています。
私達も年をとると糖尿病やガンになりやすくなるのと同じです。
自然界からの被爆は年間1ミリシーベルトですから、20ミリシーベルトだと20倍歳をとると考えてもよいと思います。

63分30秒~
セシウムはカリウムと性質が似ているので、お茶などのカリウム濃度が高い食品は汚染しやすい。
日本にはそれまで食料品の基準値がなかった。
海外から輸入する食品を追い返すための基準のみがあり、一律370ベクレルだった。
チェルノブイリでは内部被爆がもっとも被害が大きいという教訓から、日常的によく摂取するものが低く設定されている。
日本の基準値はチェルノブイリの値よりも高く設定されており、また一律に決められている。
知らないうちに汚染されたものを口にして内部被爆してしまいます。
首都圏の人たちの尿検査でも汚染が確認されています。
いまのままの基準では日本中に汚染が広がる可能性があります。

講師の河田昌東さんはチェルノブイリ救援中部で21年間、原子力や内部被爆の問題とかかわってきた。70歳を過ぎているがまだ若い。

講師の河田昌東さんはチェルノブイリ救援中部で21年間、原子力や内部被爆の問題とかかわってきた。70歳を過ぎているがまだ若い。

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関連リンク:
未来につなげる・東海ネット
http://tokainet.wordpress.com/
未来につなげる・東海ネット(プログ)
http://twitter.com/miraitokainet
チェルノブイリ救援・中部
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/
名古屋ふれあいユニオン
http://homepage3.nifty.com/fureai-union/

Esaman記者のプロフィール

インディーズ系メーデー中部。アースデイあいち・LOVE&ビンボー作戦本部。反貧困名古屋。生存組合。などで活動しています。
Chisitomare_Esamanihi

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LOVE&ビンボー作戦本部
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