名古屋市長の「南京事件はなかった」発言に公開抗議
これは、南京民間抗日戦争博物館(南京)の展示写真の1枚。被害者の数については、諸説あるが、中国側の調査では、死者の総数は、340000人に達している。南京大屠殺紀念館の壁にあった「遇難者300000人」という数字は、むしろ、中国としては控え目なのである。松井石根陸軍大将に率いられた南京攻略軍は、戦闘員か否かにかかわらず、中国人を虫けらのように殺していったのである。支隊長の山田少将の日記にはこうある。「(12月15日)捕虜の始末その他にて本間騎兵少尉を南京に派遣し連絡す。皆殺せとのことなり。各隊食糧なく困却す」
(草野球の審判レベルか?)
子供のころ近所の空き地でよく野球をやった。アウトかセーフか判然としない時、必ずと言っていいほど、自分のチームに有利な判定を下すのが、普通の子供たちのとる態度だった。私は、(事実が一番大事やろ)と心中つぶやきつつ、殴り合いになりそうな皆の剣幕に押されて、黙っていた。
名古屋市長の河村隆之さんの「南京事件はなかった」発言は、子供のころの草野球の審判騒動を思い起こさせる。しかし、南京事件(1937・12-1938・2)には、国際審判団がいたのである。当時、南京は中国の首都だったので、世界中の外交官やジャーナリストが日本兵の所業を目撃していたのである。彼らは、文章の記録を残している。また、映像の記録も残している。河村隆之さんは「目撃者がいなかった」と言うが、何たる認識不足だろうか。何も知らないならコメントするべきではなかった。
高齢故に年々少なくなってきてはいるが、何よりも、約300名の幸存者(日本語にはないこの言葉が南京事件の実相を物語っている)の証言がある。たとえば、『南京事件フォト紀行(南京事件・追悼集会)』に郭秀蘭さん(80歳)の証言がある。
http://www.janjanblog.com/archives/47917
(今後、日中間の外交的な混乱が予想される)
河村隆之さんは、自らワナを仕掛け、そのワナに自らが引っ掛かったようなものである。自らの未熟な歴史認識が、中国人の逆鱗に触れたことがわかっていない。名古屋市長という立場上、発言を撤回し、謝罪するしかない、ということがわかっていない。東京都知事の石原慎太郎さんが、「河村君は正しい」と挑戦的なエールを送っているが、中国がそれを黙殺しているのも不思議である。
2月22日の南京市の主要新聞(「揚子晩報」「金陵晨報」「現代快報」)全てに名古屋市長・河村隆之さんの「南京事件はなかった」という発言とそれに対する抗議書が掲載されていた。今後、この動きは、中国全土に飛び火する可能性がある。侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の朱成山館長の公開抗議書は以下のようなものであった。(原文中国語・山内小夜子訳)

○ 侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の朱成山館長(2011・8・15)
(公開抗議書)
日本国愛知県名古屋市長 河村隆之先生
私は侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館、侵華日軍南京大屠殺史研究会、南京大屠殺幸存者援助協会、南京社会科学院国際和平研究所を代表し、あなたが公職の身でありながら、一度ならず、公然と南京大虐殺という歴史事実を否認することに強い抗議を表します。
報道によると、あなたは名古屋市長として、自身の父親の戦時体験に関わる発言を基に、数度にわたって南京大虐殺の歴史を否認しています。これはあまりにも荒唐無稽と言わざるを得ません。周知の如く、中国侵略日本軍は中国人民に対し、数々の凄まじい罪行を働いています。特に南京大虐殺における罪状は重大です。
侵略加害者の子孫として、かつて父親世代が参加した侵略戦争と、戦後南京人民が示した寛大な処置に対し、それを恩義として心に留め、父親世代を代表し、加害地の民衆に対し真摯な謝罪を行うのが理の当然であるにも関わらず、あなたは逆にこのような振る舞いに出ています。開いた口が塞がらないとはこのことでしょう!
長年来、南京市は日本を含めた世界各地で南京大虐殺に関する証言や、物証、歴史文書(文字や映像)といった資料を収集、保存してきました。そして南京大虐殺という歴史事実の存在を明確に、客観的に説明してきました。戦後、極東軍事法廷と同盟国南京審判軍事法廷において、A級、B級及びC級戦犯の審議過程において、ことごとく南京大虐殺の調査と認定を行い、南京大虐殺に対し歴史的定論と認定を行ってきています。既にかなりの時間が経過しているとは言え、今となって否認も抹殺も許されないものです。これから千年が経とうとも、南京大虐殺の歴史は継承され続け、歴史書の一ページに記載され続けると、私は固く信じてやみません。
中日両国の南京大虐殺に関する歴史研究は、早くも前世紀の八〇年代から始まっています。日本の歴史学者洞富雄、藤原彰、吉田裕等多くの学者が何度となく南京を訪れ、実地の調査研究を行い、中国側学者と学術交流と研究、討論を行ってきました。加えて何度となく数十名を越える日本の教授、学者が参加する南京大虐殺史国際学術シンポジウムを開催してきました。特に近年は中日双方の歴史問題の研究において、南京大虐殺史はその中でも中心的課題の一つとなっています。市長先生は何故にこのような実態を無視し、いまだ研究が為されていない等という戯言を垂れ流すのでしょうか? 私が強調したいのは、学術討論であれ、合同研究であれ、そこには前提と基礎が必要であるということです。それは充分に歴史事実を尊重し、理性的であるべきで、個人の主観や憶測、感情的な好き嫌いによって恣意的な歪曲や否認、抹殺を行うべきではないのです。
南京人民は平和を熱愛しています。それは戦争が血なまぐさい流血と破壊をもたらすことを身をもって知っているからです。南京大虐殺という歴史遺訓は必ずや心に留めなければなりません。しかし、歴史を銘記することは怨恨を引きずることではありません。平和と友好は歴史事実を尊重すること、そして市民同士が心と心を通わせた真摯な交流を基礎にしてうち立てられるものです。ましてや南京市と名古屋市は友好姉妹都市として、両市の長年の努力によって作られた友好協力関係を慈しむべきではないでしょうか。
市長が発表した無責任な発言によって、多くの人々、特に若い世代の人々の正確な歴史認識に影響を及ぼすことになるでしょう。同時に、歴史事実を尊重せず、今なおご健在の南京大虐殺生存者及びその遺族を尊重しないというあなたの姿を映しだし、さらにかつて日本の侵略と加害を被った南京市民の目に、あなたの友好を望まないという姿勢を映し出すことになったのです。
侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館・館長
2012年2月21日
○ 侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館
(参考図書)
『南京事件』 (岩波新書)
『南京事件フォト紀行』 (神戸学生青年センター出版部)
○ 2007年5月からJanJanフィールドに参入しています。2011年12月末までに、「ニホンオオカミ『もどり狼』問題の真相」(上)(中)(下)、「南京事件フォト紀行」(1)-(9)、その他合計すると280本の記事を書きました。「自然生態系の保全」に特にこだわりがありますが、記事のテーマは森羅万象、多岐にわたっています。「徒然なるままに・・・そこはかとなく」南国土佐より情報発信しています。
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